『第27号:種を蒔いて育てる』
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鉄の厨房:種を蒔いて育てる
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●新しい技術がもてはやされる時
あたかも突如その技術が現れたかのように見える。
しかし、それはメディアへの露出が、急激に増えるだけ。
●技術の進歩
それ自体はとても泥臭い。
一つ一つが試行錯誤のくり返し。
そして、それをくり返しながら、知識と経験を積み重ね。
少しづつ、牛歩のように発達していくもの。
●技術開発は農業に置き換えられる
種を蒔いて、水をやり、時間をかけてじっくり育てる。
そして、ある時期がくると、実を結ぶ。
やがて、大きな成果として、刈入れの時期を迎える。
種を蒔かずに刈入れはありえない。
育てることをせずに、刈入れはありえない。
●ものづくりの会社
基本的には農業型。
開発に時間をかけて、じっくり育て、自社ブランドとして売って行く。
そうでなくとも、作り方、必ず独自のノウハウをもってるもの。
しかし、目立つのは、刈入れの瞬間だけ。
それまでの長い時間は、後から成功物語になる程度。
●できた実を見ていると
やはり、種を蒔く事、重要だと、感じるもの。
しかし、実を結ばない種もある。
とんでもない、遅咲きの種もある。
それを承知で種を蒔くこと、できるかどうか。
じっくり育てることが、できるかどうか。
理想を言うのは簡単。
実際は、簡単に判断できるものではない。
●会社は儲けてなんぼ
種を蒔くのをやめて、失敗した会社。
撤退することにより、成功した会社。
結果論で話をするのは、簡単。
未来をどれだけ語れるか。
それは半分、バクチのようなもの。
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編┃集┃後┃記┃
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10年前、ソニーに出井CEOが誕生しました。
当時私は、製鉄会社の開発設計室員。
製鉄会社は冬の時代。設備開発は縮小することを決定して、私の居
場所はなくなる運命でした。
当時のソニー。収益の上がる事業に特化して、金食いの自社開発を
大きく整理。瞬間的には収益向上、しかし、ソニーの行く末、メー
カーとしてどうなるのか、注目という記事が出たものでした。
そして10年後。デジタル家電で乗り遅れたソニー、今では安売り
ブランドになりつつあるようです。出井氏の責任が問われています。
一方、私のいた製鉄会社。設備投資を縮小して、財務内容の改善に
より、その後は業界の勝ち組と言われるようになりました。
では、また次回、お会いしましょう。
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