『第19号:特許』
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鉄の厨房:特許
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●科学技術は過去の発明、発見に
新たな考えを加え"改良"により進歩するもの。
そのためには、いろいろな人が考えた発明、発見の内容が世の中に
オープンにされていることが必要。
オープンにされなければ、科学技術の発展に、障害となる。
●特許制度の目的
科学技術の進歩のために、各自が発明、発見したことを世の中にオ
ープンにすることが本来の目的。
オープンにする代わりその技術、一定期間独占使用を認めるもの。
一定の期間がすぎれば、それは過去の技術として、だれもが使える。
そして、当たり前の技術として広がり、新たな改良も加えられる。
●特許への誤解
特許はまず"技術をオープンにすること"ありき。
そして、その代償としての独占使用権。
すごい技術が、特許を取れるわけではない。
特許になれば、一定期間は進歩の障害。
審査官はケチをつけるのが仕事。特許にしない方向で審査する。
"これは技術屋ならば、あたりまえ。特許じゃないです"と。
逆にバカバカしくても、ケチがつけられなかったもの。
特許になるのは、そんな技術。
●特許を取るのは両刃の剣
特許を取ること、自分のノウハウを世間に知らせること。
その技術は保護されても、技術の公開、一般に競争には不利。
しかも、公開した後で、"これは特許になりません"と言われる危
険もある。他社に潰されることも。
●特許の独占権利は家のカギと同じ程度
普通の人が、出来心で侵入するのは防止する。
しかし、押し入るつもりなら、ガラスを割ってでも入ってくる。
そんな相手に、カギだけでの侵入防止は無理なもの。
ガラス割って入ろうとする、相手に手の内を明かすもの。
●本当に重要なノウハウ
特許を取らずに、極秘扱いにすることも。
法的な保護もないかわりに、公開する必要もない。
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編┃集┃後┃記┃
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サラリーマン時代は開発設計という部所にいました。年間の特許出
願ノルマが3件以上、私は毎年5件以上の特許を、書いていました。
プロジェクト会議では、30以上の特許ネタを提示して、分担して
書いたこともありました。内容は、くだらないものばかりです。
基本的に技術開発は、他社特許に、抵触しないように気をつけます。
特許紛争は、新聞だねになりますから。
しかし、いつ特許紛争になってもいいように、準備はしていました。
他社の特許を潰す方法は、いつでも検討していましたし、同じ室内
で他社特許を潰すのも、見てきました。
くだらないネタでも、多くの特許を出すのは、他社特許に対する防
衛の意味もありました。
つまり、特許を取られた技術でも、本気で対抗するつもりなら、か
なりのことまで、できると言うことです。
ガラスを割ってでも入ってくる相手に、特許は万能ではないのです。
かえって自分の技術をオープンにしただけ、不利になります。
自分の技術をオープンにして、特許を潰されたら、その技術、だれ
でもマネしていいことになります。目も当てられない状況です。
ですから、本当に重要な技術は、特許を取らずに極秘扱いにしてい
たものです。
では、また次回、お会いしましょう。
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